携帯電話の普及とともに、街角などに設置された公衆電話が減り続けていますが、そうした中、2022年の法改正で公衆電話の設置基準が緩和されたようですので、今後もその傾向が続きそうですね。
公衆電話の歴史
当時は「自働電話」と呼ばれていたそうですが、1900年9月に上野駅と新橋駅の構内にそれが設置されたのが、公衆電話の歴史の始まりだそうです。
また、公衆電話が世間に浸透していくきっかけになったのが、1951年12月に登場した「委託公衆電話」だったそうです。
当初は黒色の電話機だったそうですが、1953年には、よく目立つように赤く塗られた「赤電話」となり、この赤電話の登場以降、公衆電話の利用が急増したようですね。
ある程度の年齢の方であれば、たばこ店の店先などに設置された赤電話を実際に見たことがあるのではないでしょうか?
自分は実際に何度か使ったことがありますが、通話中に店番をされている方と目が合ってしまい、お互いに気まずい顔になってしまったことがありました。(今では良い思い出の一つです)
また、それとほぼ同時期に、電話ボックス用の公衆電話として「青電話」が登場し、1972年には、100円硬貨も使える公衆電話として「黄電話」が登場していますが、これ以外にも、ピンク電話や緑電話、グレー電話など、様々な公衆電話が登場しました。(一部で白色の公衆電話も使われていましたね)
そして、1982年には、キャッシュレス時代の先駆けとなった「カード式公衆電話」が登場し、1995年には、すべての公衆電話がカード式になり、今に至っています。
公衆電話の設置台数の推移
NTTや総務省が公表している1968年から2024年までの公衆電話の設置台数をもとに、その推移をグラフにしてみました。
設置台数のピークは1984年の934,903台で、翌年の電電公社の民営化以降、その数はやや減少しています。
また、携帯電話の利用者が増え始めた1996年頃からグラフが傾き始め、2001年以降はよりその傾向が強くなっています。(2024年3月末には110,333台まで減少)
都道府県別の公衆電話の設置台数
参考に、NTT東西が公開している都道府県別の公衆電話の設置台数を紹介します。2023年3月31日現在のデータです。
都道府県 | 設置台数 | 都道府県 | 設置台数 | 都道府県 | 設置台数 |
---|---|---|---|---|---|
北海道 | 3,971 | 富山県 | 739 | 山口県 | 1,862 |
青森県 | 1,499 | 石川県 | 981 | 徳島県 | 499 |
岩手県 | 1,129 | 福井県 | 790 | 香川県 | 505 |
宮城県 | 2,076 | 岐阜県 | 1,538 | 愛媛県 | 910 |
秋田県 | 703 | 静岡県 | 1,588 | 高知県 | 904 |
山形県 | 1,167 | 愛知県 | 4,474 | 福岡県 | 2.309 |
福島県 | 1,687 | 三重県 | 926 | 佐賀県 | 517 |
茨城県 | 3,066 | 滋賀県 | 1,151 | 長崎県 | 905 |
栃木県 | 1,655 | 京都府 | 1,607 | 熊本県 | 853 |
群馬県 | 1,781 | 大阪府 | 5,392 | 大分県 | 552 |
埼玉県 | 3,734 | 兵庫県 | 3,876 | 宮崎県 | 1.263 |
千葉県 | 5,126 | 奈良県 | 1,134 | 鹿児島県 | 1,363 |
東京都 | 13,192 | 和歌山県 | 861 | 沖縄県 | 1,119 |
神奈川県 | 5,195 | 鳥取県 | 751 | - | - |
新潟県 | 2,384 | 島根県 | 1,084 | - | - |
山梨県 | 890 | 岡山県 | 1,666 | - | - |
長野県 | 1,481 | 広島県 | 2,829 | - | - |
東日本合計 | 50,736 | - | - | 西日本合計 | 44,948 |
-- | -- | -- | -- | 東西合計 | 95,684 |
公衆電話は重要な社会インフラ
さて、こんな感じで減少が続く公衆電話ですが、総務省は、公衆電話を国民生活に不可欠な通信サービスと位置付けているため、全廃されるようなことにはならないと思われます。
また、公衆電話には以下の2つの特長があり、災害などの緊急時における有効な通信手段となっていますので、公衆電話を使用した緊急通報の方法は、学んでおいたほうが良いでしょう。
1. 災害等の緊急時において電話が混み合っていても、公衆電話の通話が優先的に取り扱われる。
2. 電話回線を通じて電力の供給を受けているため、公衆電話は停電時でも電話をかけられる。
現在設置されている公衆電話には、アナログ公衆電話とデジタル公衆電話の2種類があり、それぞれ、以下の方法で緊急通話が可能です。
特に携帯電話しか使ったことのないお子さんは、受話器を上げるという操作を知らない場合が多いそうですので、その点をしっかり教えてあげましょう。
1. 赤色の緊急通報ボタンのある公衆電話(アナログ公衆電話)は、受話器を上げて緊急通報ボタンを押してから110番、119番をダイヤルする。
2. 緊急通報ボタンのない公衆電話(デジタル公衆電話)は、受話器を上げて110番、119番をダイヤルする。
公衆電話の設置場所検索サービス
また、台数が減少した公衆電話を探しやすくするために、NTT東日本とNTT西日本のそれぞれが、「公衆電話 設置場所検索」サービスを提供しています。
・東日本の公衆電話の設置場所を検索
・西日本の公衆電話の設置場所を検索
災害などの緊急時に携帯電話などが使えなくなると、インターネットで検索することもできなくなりますので、日頃から自宅や職場の近くにある公衆電話の設置場所を把握しておくことも大切ではないかと思います。
自宅や職場付近のハザードマップを確認するのと同様に、公衆電話の設置場所も確認しておくと良いと思います。