ジャングル黒べえ ベッカンコ

子どもの頃に見ていたテレビアニメに「ジャングル黒べえ」という藤子作品のアニメがあったのですよね。

アフリカの密林で暮らすピリミー族の大酋長の息子の「黒べえ」が主人公のアニメだったのですが、異色のキャラクターであり、かつ、かなり個性的なキャラクターだったこともあり、強く印象に残っています。

 

恩返しは「ジャングルの掟」

ジャングル黒べえ」は、主人公の黒べえが、ジェット機を大きな鳥と勘違いして、それを捕まえようと飛び立つジェット機の車輪にしがみついたものの、日本の上空で力尽きて落下してしまうという話しからスタートします。

また、黒べえが落下した先は、佐良利家というどこにでもある家庭の庭先だったのですが、その家で暮らす小学生の「しし男」からパンや毛布を受け取り、一夜を過ごすことになったのですね。

そして翌朝になると黒べえは、「恩を受けたら必ず恩返しをする」のが「ジャングルの掟」だと主張して、しし男の家の庭に大きな穴を掘ります。

黒べえによれば、その穴に返した恩に応じた量の石を投げ入れて、石で穴が埋まったときが恩返しの終了だということで、それまでの間、黒べえは佐良利家で暮らすことになるのです。

よく、「恩は石に刻む」と言いますが、もしかしたら、その言葉がヒントになって、この設定が生まれたのかもしれませんね。

 

魔法の呪文は「ベッカンコ」

そして、佐良利家で暮らすことになった黒べえは、ピリミー族に伝わる魔法を使い、しし男を助けるようになるのですが、未熟な魔法が原因で、助けるどころか収拾のつかない状態になってしまうというのが、ジャングル黒べえの面白いところでした。

また、黒べえが魔法を使うときには、呪文を唱えるのですが、呪文の最期の言葉が必ず「ベッカンコ」なのですよね。呪文というよりは決め台詞みたいな感じかな?

アニメの作り方はよくわかりませんが、登場人物やストーリーを決めるのと並行して、そんな感じの決め台詞のようなものも決めていくのかもしれませんね。

 

登場人物の設定は「ドラえもん」に近い

また、ジャングル黒べえが藤子作品だからかもしれませんが、登場人物の設定は、ドラえもんのそれとよく似ていました。

魔法を使う「黒べえ」(未来の道具を使うドラえもん)

そんな主人公と仲良くなった弱虫で心優しい「しし男」(のび太)

しし男の同級生でガキ大将キャラの「タイガー」(ジャイアン)

ジャイアンの取り巻きで狡賢いところがある「オカラ」(スネ夫)

マドンナ的存在の「たかね」(しずか)

 

その他の登場人物

また、ジャングル黒べえでは、これ以外にも、黒べえのペットで、羽のような耳が生えた二足歩行をする象の「パオパオ」。黒べえの弟で、「ピキ」という言葉しか話せない「赤べえ」などがいました。

パオパオも赤べえも、黒べえを追いかけて日本にやってきたという設定でしたが、確かパオパオは、アフリカから泳いで日本にやってきて、赤べえは小包に入ってやってきたのではなかったかな。

 

ともかく黒べえのキャラが強い

さて、そんなジャングル黒べえですが、終始「ジャングルの掟」に従って行動する黒べえのキャラクターの強さが目立っていましたね。

ジャングルの掟には、「物をもらったらお礼を言う」などの常識的なものがある一方、「拾ったものは自分のもの」という、ちょっとどうかと思うようなものもありました。

また、「嘘は悪い」という掟もあったのですが、これは非常に強い掟という設定だったのか、黒べえは、嘘をついた相手には容赦ない仕打ちを返していましたね。

行動的であり攻撃的でもあるというのが、黒べえの設定だったのかもしれません。

でも、そんなところも含めて、ジャングル黒べえは面白かったですね。機会があったら、是非もう一度見てみたいです。

 

ジャングル黒べえと差別問題

また、この作品については、ジャングル黒べえがアフリカ出身の黒人少年という設定だったことから、差別問題と絡めて評価されることもあるようですね。

確かに、今の人権意識からすれば、作品中に不適切な表現もあるとは思いますが、作品が制作された当時の時代背景からすれば、そういったことも致し方ないと思います。

やはり、今の価値観で過去を評価するのは、あまりよくないような気がしますね。