父親は嫌われやすい

テレビや雑誌の企画の一つに、「父親の嫌いなところを聞く」というのがありますよね。

まあまあ辛辣な回答をするお子さんと、その脇で苦笑いしながらコメントするお父さんの組み合わせが面白くて、ついつい見入ってしまいますが、こういう企画が成立するということは、世の中のお父さんは子どもから嫌われやすいということなのでしょうか?

 

他人を嫌いになるメカニズム

一口に「嫌い」と言っても、その内容は様々ではないかと思いますが、自分は、(1)期待外れからの「嫌い」、(2)嫉妬や軽蔑からの「嫌い」、(3)生理的・観念的な「嫌い」の3つの「嫌い」に分類するのが良いのではないかと感じています。

 

(1)期待外れからの「嫌い」

「自分の期待に応えてくれなかった人」に対する「嫌い」で、「こうして欲しかったのにしてくれなかった人」を許せないといったことが、これに当たります。

(2)嫉妬や軽蔑からの「嫌い」

「嫉妬や軽蔑の対象になっている人」に対する「嫌い」で、「自分よりも優位な立場にいる人」や「マナーが悪い人」を許せないといったことが、これに当たります。

(3)生理的・観念的な「嫌い」

「生理的に受け入れられない人」に対する「嫌い」で、具体的な理由があるわけではなく、単に「その人だから嫌い」だから許せないといったことが、これに当たります。

 

また、大抵の場合、「嫌い」という感情は、(1)から始まり、それが(2)に移行し、最終的に(3)に発展したところで頂点に達するのではないかと思うのですが、こうした一連の流れが、他人を嫌いになるメカニズムではないかという気がします。

 

父親は嫌われやすいのか

さて、人が他人を嫌いになるメカニズムについてはこの通りですが、このメカニズムは、男性に対してのみ働くものではなく、また、女性よりも男性に対して強く働くものでもないと思います。

子どもの期待に応えられない親は、父親であれ母親であれ子どもから嫌われるでしょうし、同様に、マナーが悪いとか、だらしがないといったことがあれば、子どもから軽蔑の対象とされて嫌われるわけです。

ただ、強いて言えば、母親よりも父親のほうが、若干不利なところがあるような気がしますし、もしかすると、それが「父親は嫌われやすい」ということにつながっているのかもしれませんね。

例えば、父親よりも母親のほうが子どもと接する時間が長いと言われていますが、時間が少ない分、父親のほうが子どもの期待に応えられていないという可能性はありそうです。

また、男性よりも女性のほうが繊細であるということも言えると思いますが、こうしたことも父親に不利に働いているかもしれませんので、もしそうだとすれば、「父親は嫌われやすい」というのも、あながち間違いとは言えなさそうですね。

 

女性に備わった本能

また、シカゴ大学やオックスフォード大学の調査によれば、女性は自分がもつ遺伝子の型と、遠い遺伝型をもつ男性の匂いを好む傾向が高かったそうですが、それからすれば、自分と近い遺伝型をもつ父親の匂いが苦手という女性がいてもおかしくはないですよね。

仮にその通りだとすれば、「子どもが女の子の場合は」という条件はつきますが、こうしたことも、「父親は嫌われやすい」ということにつながっているかもしれません。