自分が小学生の頃、口裂け女が出るという噂話しが流行っていたことがありました。
確か、この噂話しが流行ったのは70年代の終わり頃だったと思いますが、社会問題化した都市伝説と言って良いくらい、当時は話題になっていましたね。
子どもたちの間で広まった噂話しでしたので、話す人によって微妙に内容が違っていましたが、自分が聞いた話しは、おおよそ以下のようなものでした。
・交通事故で口が耳元まで裂けてしまったらしい
・裂けた口を隠すために大きなマスクをしている
・白いコートを着ている
・学校帰りに「私、きれい?」と声をかけてくる
・「きれい」と答えるとマスクを外して裂けた口を見せてくる
・「きれいじゃない」と答えると刃物で襲われる
・逃げても追いかけてくる
・100メートルを6秒で走るくらい俊足
・「ポマード」という言葉を3回唱えると逃げられる
今にして思えば、100メートルを6秒で走るという時点でおかしな話しなのですが、そこまで頭が回らないのが子どもですよね。
100メートルを6秒って、時速60キロメートルだよ?
と、当時の自分に言ってあげたい。
子どもらしい情報拡散
さて、口裂け女の噂話しはこんな感じでしたが、考えてみると、子どもらしい情報拡散による噂話しだったのかなあという気がします。
恐らく、
・噂話しをすることで注目されたいと思っている子ども
・噂話しをすることが自己表現の一つになっている子ども
・好奇心が強く新しい話しを興味津々で聞いてくる子ども
・噂話しを通して仲間意識や一体感を高めたいと思っている子ども
・噂話しを知っていることが自分の地位のように感じる子ども
といった多様な子どもたちによって、情報が拡散したのだろうと思います。
「ねえ、ねえ、こういう話し知ってる?」
「何それ、教えて教えて!」
こういうのが、子どもの世界のコミュニケーションではないかと思いますが、これが繰り返されていくうちに、どんどん話しが広がっていくのでしょう。
学校と警察が一番の被害者かも
ただ、こういう噂話しで一番困るのは、学校と警察だろうと思います。
口裂け女の噂話しは、いわゆる不審者情報ですので、立場上、何もしないわけにはいかないでしょうし、都市伝説だと思って無視していたら実際に…となったら、各方面から攻められるでしょうからね。
当時は大変だったのではないかと思いますよ。
実際、自分が通っていた学校でも、全校集会で校長先生が注意喚起していましたし、教室でも担任の先生から話しがありましたし…
まあ、話しといっても、不審者には近づかない。周囲の大人に知らせる。暗くなる前に帰る…といった一般的な話しでしたけどね。
映画化された口裂け女
ちなみに、口裂け女は2007年に映画化されていますが、昨年(2023年)にも、「先生!口裂け女です!」というそのものズバリのタイトルで映画化されているのですよね。
2人の高校生が、さびれたアパートの前に停まっていたバイクを盗もうとしたところ、そのバイクの持ち主と思われるマスク姿の女性に見つかってしまい、バイクに乗ってで逃げたものの、猛スピードで走ってきた女性に追いつかれてしまうというのが、この映画のあらすじだそうです。
まあ、100メートルを6秒で走る口裂け女ですので、バイクに乗って逃げたとしても追いつかれますよね。