進まない実家じまい

一年ほど前から、実家じまいに向けた片づけをしているのですが、思ったように進まないものですね。

 

実家じまいとは

「子が親の家を処分すること」を「実家じまい」と言いますが、最近はわりと一般的なことになっているような気がしますね。

昔は「親の家を子が継ぐ」のが当たり前だったと思いますが、核家族化が進むにつれ、「子も家を持つ」のが当たり前になり、その結果、継ぐ人がいなくなった親の家を処分する人が増えているということなのかもしれません。

また、昨今話題になることが多い「空き家問題」や、「相続登記の義務化」といった法改正も、「実家じまい」が一般的になった要因の一つになっているような気もしますね。

 

実家じまいを始めた理由

さて、そんな実家じまいですが、自分も以下のような事情から実家じまいを検討するようになりました。

・実家は高齢者世帯。(親はともに後期高齢者)

・子はそれぞれ生活拠点があり、実家に戻る予定はない。

・親が介護施設に入ると、実家のメンテナンスをする人がいなくなる。

・親が亡くなれば、実家は空き家になる。

ただ、実家じまいを検討し始めた当初は、相続が発生してから(親が亡くなってから)実家じまいをすれば良いと思っていたのですよね。

というのも、実家じまいは「親がいなくなることが前提の話し」なので、親がいるうちに始めても、親から反発されてうまくいかないと思ったからです…

が、相続では「人の死」と「お金」の問題が同時に発生するので、そういう中で実家じまいを進められるかが心配になったのと、親の意向も聞くべきではないかという気持ちにもなったので、親がいるうちに片づけを始めることにしました。

 

実家じまいの最大の難関

そして、親の様子を見に行ったついでに実家じまいの話しを切り出したのですが、予想していた以上に強い反発があって、しばらく感情的な話しが続きました。

親にしてみれば、自分の子どもからそういうことを言われるとは思っていなかったのかもしれませんし、また、いくつになっても親子は親子ですので、子どもから意見されることも気に入らなかったのかもしれませんけどね。

ただ、そこで話しを終えてしまうと、何のために実家じまいの話しを切り出したのかがわからなくなってしまうと思ったので、少し切り口を変えて、「家の手入れが行き届かないことになるとご近所の迷惑になる」といった話しをしてみました。

すると、感情的な空気がやや落ち着いた空気に変わり、納得はしていないようでしたが、最終的には同意を得ることができました。

まあ、誰しも多少は世間体を気にしますし、特に自分の親の世代はそういった傾向が強いと思ったのでそんな話しをしてみたのですが、それが良かったのでしょうね。

 

実家じまいの面倒なところ

といった感じで実家じまいに向けた片づけが始まったのですが、話しを切り出してから一年近く経った今も、まったくと言って良いくらい作業が進んでいません。

やはり、当事者が前向きに動いてくれないと、こういう話しは進まないですね。高齢で足腰が弱っているので、動くのが億劫というのもあるとは思いますが、もう少し動いて欲しいと思っています。

また、これも年齢的なものだと思いますが、「もったいない精神」の塊のような親なので、確認したモノすべてが「もったいない」になってしまうので、明らかに不用品と思えるモノでも捨てるに捨てられないのですよ。

まあ、戦後のモノの無い時代を生きてきた人たちなので、気持ちはわからなくもないのですが、実家じまいをする以上は、どこかで折り合いをつけて欲しいと思っています。

 

実家は不用品の宝庫

さて、そんな感じでまったく見通しが立たないのですが、家の中にあるモノの半分以上が不用品ではないかと思えるくらい、「最後に使ったのはいつだろう」「この先使うことがあるのだろうか」と感じるモノが多く残っています。

例えば、恐らくは100を超えていると思われる大量の紙袋やレジ袋。50本はありそうなボールペンやフェルトペンなどの筆記具、よくわからない生活雑貨など、その場で捨ててしまっても生活に支障はないと思えるモノですね。

親が言うには、「何かのときに無いと困るモノ」「まだ使えるモノ」らしいのですが、たぶん、使わないまま終わってしまうモノがほとんどではないかと思います。

また、それ以外にも衣類や食器類、本や雑誌といったものも多く残っています。恐らく、これらも大半は「何年も使っていないモノ」「何年も読んでいないモノ」だと思うのですけどね。

そして、木彫りの熊や伝統こけしといった土産物の類いもそのままですね。「他人から貰ったモノは捨てづらい」という気持ちもわからなくはないのですが、そういうモノこそ貰った本人が処分してほしいところです。

今の若い人であれば、そういったモノはスマートフォンで写真を撮って、モノ自体は捨てるといったこともできそうですし、実際にそうしている人もいるような気がしますが、自分の親の世代は、思い出と同じくらいモノそのものも大切なのでしょう。

また、家の外にそこそこの大きさの物置があって、その中に火鉢や七輪、刃が錆て使えそうにないノコギリなどがあったのですが、さすがにこれらは捨てようという話しになったので、粗大ごみとして処分しました。

 

動けるうちに片づけたほうがいい

ということで、今後も少しずつ片づけをしていこうと思っているのですが、親を見ていて思うのは、「動けるうちに片づけたほうがいい」ということですね。自由に体が動かせるうちでないと、片づけは難しいと思います。

まあ、今どき火鉢や七輪のある家庭はないと思いますが、50代の自分が持っても重いと感じるモノですからね。高齢になったら持つのも大変だと思いますので、そういったモノほど動けるうちに処分したほうが良いと思います。

また、仮に業者さんを呼んで不用品を処分するにしても、歳をとってから業者さんを探したり、やり取りしたりするのは大変ですので、どちらにしても、若いときから片づけを始めたほうが良いでしょうね。

 

モノは少ないほうが良い

そして、これが一番大切なことではないかと思うのですが、先になってから片づけで苦労するくらいなら、日頃から持ちモノを少なくしておくほうが良いと思いますね。

実家の片づけをしていて思ったのですが、

・使わなくなったものは早めに処分する。

・便利なモノでも使う頻度が少ないものは手に入れない。

といったことをするだけでも持ちモノを少なくできると思いますし、モノは使ってこそ価値があるわけですから、使わないモノは持つ必要もないと思います。

 

空き家問題について

それと、空き家の管理義務に係る民法の規定が変わったようですので、相続放棄を検討している人は確認しておいたほうが良いと思います。

2023年3月末までの民法940条

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

 

2024年4月1日以降の民法940条

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、(中略)自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

 

「現に占有」の解釈が明確になっていないので、その点は少し心配ですが、相続放棄をした人が占有していない不動産については、管理義務が生じないことになったようですので、その点は良かったと思います。

売るに売れない「不動産」は、固定資産税を払い続けるだけの「負動産」と言われることもありますが、そのような資産価値のない不動産を相続することになってしまった人には、今回の民法の改正は朗報だと思います。