不祥事が続くメガバンク

貸金庫の件で話題になったばかりの三菱UFJ銀行ですが、こんな事件もあったのですね。

カルナバイオサイエンスに誹謗中傷や脅迫をしていたなどとして、2024年11月7日に神戸地検に強要未遂罪で起訴された50歳代の被告人が、三菱UFJ銀行の管理職の元行員(起訴後に懲戒解雇)であることが、本誌の取材でこのほど明らかになった。

2024.12.06 日経バイオテク

記事の内容からすると、この事件は行員が業務外に起こした個人的な犯罪のようですので、雇用主である三菱UFJ銀行の責任は問えないと思いますが、起訴された時点で事実関係くらいは公表しておいたほうが良かったような気がします。

まあ、起訴のタイミング(11月7日)が貸金庫の事件を公表するタイミング(11月22日)の直前だったので、この事件には触れたくなかったという気持ちもわからなくはないですけどね。

ただ、こんな感じで都合が悪いことを「なかったことにする」のがJTC(Japanese Traditional Company)仕草なのかなあという印象にはなってしまうと思います。

ちなみに、記事にあったカルナバイオサイエンスは、いわゆるバイオベンチャー企業だそうで、起訴された行員は、同社に対して悪質な脅迫のメールを送ったり、ウエブサイトの掲示板に誹謗中傷の書き込みを繰り返していたようです。

また、この行員は、同行の内規に違反する株取引を行っていたそうで、カルナバイオサイエンスの株価が急落した昨年12月頃から同社への脅迫や誹謗中傷が目立つようになったということなので、もしかしたら同社の株式で大損したのかもしれませんね。

まあ、そのあたりの事情はよくわかりませんが、強要未遂罪で起訴ということなので、同社の役員などに対して土下座を要求したとか、損失補填を要求したとか、そんな感じのことをしていたのではないかと思います。

勤務先の内規に従っていれば、そういうことにはならなかったと思いますので、その意味では自業自得なのですけどね…

と、それはさておき、貸金庫の事件も今回の事件も、どちらも同行の管理職の行員による犯行というのは気になりますね。

大きな会社の管理職というと、優秀な人の中でもさらに優秀な人というイメージがありますが、そういう人たちの中から続けて犯罪者が出るというのは、ちょっと信じがたいです。

まあ、三菱UFJ銀行の従業員数は約33,000人ということなので、10人に1人くらいが管理職だとすれば、3,000人ほどの管理職がいることになりますからね。3,000人もいれば、そういうことが起こってもおかしくはないのかもしれませんが…

ということで、警察庁が公表している「人口10万人当たりの主要罪種別犯罪率の推移」という統計資料から、3,000人当たりの犯罪率を計算してみました。

令和5年警察白書 人口10万人当たりの主要罪種別犯罪率

凶悪犯: 3.6人
粗暴犯: 42.2人
窃盗犯:326.5人
知能犯: 33.1人

10万人当たりを3,000人当たりに計算し直した結果

凶悪犯: 0.1人
粗暴犯: 1.3人
窃盗犯: 9.8人
知能犯: 1.0人

今回の事件は粗暴犯に。貸金庫の事件は窃盗犯に該当すると思いますが、それぞれ3,000人当たり1.3人と9.8人なので、確率的にはそれほどおかしなことでもなさそうです…というか、貸金庫の事件のようなことは他にもありそうに思えてきますね。