80年代の後半から90年代の前半にかけて、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」というバラエティ番組があったのですが、面白い番組だったのでよく見ていました。
ドキュメントバラエティというのでしょうか。素人さんに出演してもらって、いろいろなことをやってもらうといった感じのコーナーが多かったように思いますが、その中でも印象に残っているのが、インディーズ時代の「X JAPAN」が出演していたヘビメタコーナーです。
たぶん、YOSHIKIさんが20歳くらいのときだと思うのですが、ヘヴィメタルがバラエティ番組に出演すると、かなり砕けた感じの映像になってしまうというのが面白かったですね。
また、視聴率が稼げるコーナーだったのか、以下のようにシリーズ化していました。
- ヘヴィメタルの自宅を訪問
- 秋の大運動会に参加するヘビーメタル
- ヘヴィメタルが新装開店した食堂を応援
- ヘヴィメタルが予備校生を応援
- ヘヴィメタルが就寝中の人を無理やり起こす
- 緩い時代だったからテレビが面白かった
ヘヴィメタルの自宅を訪問
YOSHIKIさんが初めてこの番組に出演したときのコーナーですが、もしかしたら、YOSHIKIさんにとっても初めてのテレビ出演だったかもしれませんね。
東京の中野に「ヘヴィー・メタル界最高の男が暮らしている」という情報が入ったということで、番組のレギュラーだった高田純次さんが、ヘヴィメタルのバンドメンバーのような恰好をして、YOSHIKIさんの自宅を訪ねるというものでした。
ドキュメントバラエティらしく、YOSHIKIさんが住んでいるというアパートに高田純次さんらが徒歩で向かい、YOSHIKIさんの部屋のドアをノックすると、中からYOSHIKIさんが登場します。
そして、お宅訪問番組のようにカメラが室内に入るわけですが、生活感のある部屋の一角に、メイク道具がきれいに並べて置いてあったのが印象的でしたね。
また、高田純次さんがYOSHIKIさんにインタビューするシーンがあったのですが、自分のプロフィールを素直に答えるYOSHIKIさんに、高田さんが微妙な反応をしていたことろも面白かったです。
このときYOSHIKIさんは、実家の商売と出身地をそのまま答えていたのですが、高田さんの反応からすると、打合せにはなかったことだったのではないかという気がします。
「まあ、いいか」
みたいな感じでしたからね。
あと、これは今だったら許されないと思いますが、アパートの住所表示がそのままテレビで流れていましたね。当時は映像のチェックが甘かったのかもしれません。
秋の大運動会に参加するヘビーメタル
徒競走あり、ムカデ競争あり、二人三脚あり、騎馬戦ありといった感じの本格的な運動会に、ヘヴィメタルのバンドメンバーが舞台衣装で挑むというコーナーですが、衣装が衣装だけに、騎馬戦で騎馬を組んだときの映像は、けっこう様になっていましたね。
ヘヴィメタルが新装開店した食堂を応援
ヘヴィメタルが新装開店した食堂を応援しに駆けつけるというコーナーですが、食堂の前で火吹き(手にした松明に口に含んだ燃料を吹きかける)をしたり、店内で食事をしているお客さんの後ろで大音量で演奏したりと、応援しに行ったのか邪魔しに行ったのかがよくわからないようなところが面白かったですね。
また、食事をしている女性のお客さんの耳元で、
「さあ~、食え~、さあ~、食え~」
とシャウトするシーンもあり、お客さんも店員さんもちょっと引き気味になっていたのが印象的でした。
あと、お店のカウンターの上に渡してあった金属製のバーを、勢い余って壊してしまったのも印象的でしたね。
壊したメンバーの反応からして、台本にはないハプニングだったと思います。
ボーカルの人が、歌いながら椅子に上がってカウンターのバーに手をかけたときの出来事でしたが、そこで体重をかけてしまったのが失敗でした。
こういうハプニングは、番組的には面白いと思いますが、壊された側の食堂としては複雑な心境だったと思いますね。
ヘヴィメタルが予備校生を応援
予備校に通う浪人生をヘヴィメタルが応援するというコーナーです。
バンドメンバーがトラックの荷台に乗って移動し、予備校前の路上で大音量で演奏するのですが、応援しに行ったのか勉強の邪魔をしに行ったのかがよくわからところが面白かったですね。
また、浪人生の質問にメンバーが回答するシーンがあったのですが、浪人生が「受験に失敗しないコツは何ですか?」と質問したのに対して、メンバーが、
「お~、受験しないことだ~」
と、元も子もない返答をした瞬間に演奏が始まり、トラックで走り去るというところも面白かったです。
まあ、このあたりは台本があったのかなあという気もしますけどね。
ヘヴィメタルが就寝中の人を無理やり起こす
早朝の旅館にヘヴィメタルのバンドメンバーが出向き、寝ている人たちの脇で大音量で演奏して、その人たちを無理やり起こすというドッキリもので、バラエティ番組らしいコーナーでしたね。
緩い時代だったからテレビが面白かった
以上がシリーズ化したヘビメタコーナーの内容ですが、このコーナーの他にも、番組レギュラーの兵藤ゆきさんが荒川区の熊野前商店街を応援しに行くコーナーとか、高校生がダンスを競う「高校生ダンス甲子園」とか、日本人が外国人になりきるコーナーといったものがあって、どれも面白かったですね。
ただ、今の時代にこの番組と同じような番組を制作しようとしても、たぶんできないと思います。この番組が制作された当時は、多少過激な演出をしても許された時代でしたからね。
そういう時代だったからこそ、テレビが面白かったのだろうと思います。