子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの
放送作家であり、作詞家でもあった永六輔さんの著書の中にあった言葉だそうですが、いろいろと考えさせられる言葉ですよね。
「来た道、行く道」の意味
人は往々にして今の自分を基準に他人を評価しますので、中には子ども相手に腹を立てたり、お年寄りを小馬鹿にするような人もいるわけですが、それは大人としての思慮分別に欠けることだというのが、この言葉の意味するところだろうと思います。
また、それ以外にも、「思慮分別に欠けるようなことを繰り返していると、いつか自分に返ってくる」といった意味合いもあるような気がしますね。
人間は感情の生き物ですので、負の感情が芽生えることは自然なことですが、それが表出することの無いよう、上手にコントロールできるようになりましょうというのが、この言葉の本質的なところではないかと思います。
負の感情をコントロールするには
負の感情を上手にコントロールできるようになるには、以下のようなことを心掛けるのが良さそうです。
人を侮らない
人は、自分よりも極端に手際の悪い人などに対して、その人の能力や価値を低く評価したり、その人のことを軽視したりしがちですので、そうならないように気をつけましょう。
人を蔑まない
人は、他人の社会的な地位や一時の行動を見て、その人のことを卑しいと感じたり、軽蔑したりしがちですので、そうならないように気をつけましょう。それはその人の一面でしかありません。
人を見くびらない
人は、他人の些細な貢献や成果に対して、その人の能力や価値を過小評価したり、その人のことを軽んじたりしがちですので、そうならないように気をつけましょう。それがたとえ些細なものであっても、貢献は貢献、成果は成果です。
人を嘲笑しない
人は、他人の失敗を馬鹿にしたり、嘲り笑ったりしがちですので、そうならないように気をつけましょう。人はミスをする生き物ですので、失敗は誰にでもあります。
高慢にならない
人は優越感を感じると、それを鼻にかけたり、高慢な態度をとったりしがちですので、そうならないように気をつけましょう。「高慢はつねにかなりの愚かさに結びついている」という言葉もあります。
横柄にならない
人は、自分が相手よりも少しでも優位な立場にいると、相手に対して威張ったり、傲慢な態度をとったりしがちですので、そうならないように気をつけましょう。
負の感情を抱きやすいタイプ
また、次のようなタイプの人は、負の感情を抱きやすいようですので、該当する人は気をつけたほうが良さそうです。
プライドが高い人
自分が優秀な人間だと思っている場合もあれば、逆に、劣等感の裏返しという場合もあると思いますが、プライドが高く負けず嫌いな人は、プライドが傷つけられたり、何かで完敗するようなことがあると、負の感情を抱いてしまうことがあるようです。
相手によって態度を変える人
自分よりも立場が上の人には丁寧に接し、逆に、自分よりも立場が下の人には横柄に接するといったように、相手によって態度を変える人は、丁寧に接した相手から思ったような評価を得られなかったり、横柄に接した相手から反発されるようなことがあると、負の感情を抱いてしまうことがあるようです。
常に自分が正しいと思っている人
他人からの指摘や助言に耳を傾けることがなく、自分に非があってもそれを認めることもせず、謝りもしないといったように、常に自分が正しいと思っている人は、その高い自尊心が傷つけられると、負の感情を抱いてしまうことがあるようです。
承認欲求の強い人
自分が優秀な人間であることをアピールするために、事あるごとに自慢話しをするなどの承認欲求の強い人は、その欲求が満たされないと、負の感情を抱いてしまうことがあるようです。
嫉妬心の強い人
自分よりも格下だと思っていた相手が、実は自分よりも優れていたといった場合などに強い嫉妬心を感じる人は、その相手に対して、怨恨や憎悪といった負の感情を抱いてしまうことがあるようです。
子どもに対する負の感情について
さて、最初の話しに戻りますが、「子供叱るな」の「叱る」は、どちらかと言えば「叱る」ではなく「怒る」ということを言っているような気がしますね。
子どもの些細ないたずらに対して、それが良くないことだとアドバイスするのは大人として当然のことだろうと思いますし、それが叱るということではないかと思いますが、そこで感情的になって怒るのは大人げないということだろうと思います。
いい歳した大人が、子ども相手にむきになるのは恥ずかしいことですし、それでは子ども同士の喧嘩と同じになってしまいますよね。
子どもを叱るのは逆効果なのか
また、少し話しが逸れますが、「子どもを叱る」ということについては、「子どもの躾けのために叱ることは必要」という意見と、「叱ることは子どもの脳の機能を一時的に低下させるだけなので意味が無い」という意見の、2つの意見があるようですね。
要は、子どもにとって叱られるということが、「学びにつながる」か「学びにつながらない」かということだろうと思いますが、叱るタイミングや叱り方もあると思いますので、どちらが正解とは言い難いと思います。
ただ、自分の子ども時代を思い返してみると、少なくとも、叱られて良い気持ちになったという記憶はありませんので、それからすれば、後者のほうが正しいような気もします。
もしかしたら、日頃から必要なことを教えておいて、何か起こったときには、それを思い出すように諭すほうが、子どもにとっては学びになるかもしれませんね。
お年寄りに対する負の感情について
一方、「年寄り笑うな」の「笑う」は、嘲笑といったネガティブな笑いのことだと思いますが、そういうことをする人は、それほどいないような気がしますね。
それよりも、例えばレジで会計待ちをしているときに、前に並んでいるお年寄りがお金のやり取りで手こずると苛立つといったことのほうが多いような気がします。
もちろん、そういったことは自然な感情ですので、それが態度に出るようなことがなければ良いと思いますが、苛立つと同時に、「いつか自分もそうなるんだろうなあ」と思えるようにはなったほうが良いでしょうね。
世の中には、歳を重ねて初めてわかることもたくさんあると思いますので、すでに歳を重ねているお年寄りから、将来の自分を想像してみることも大切だろうと思います。